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追徴課税とは?計算方法をわかりやすく解説!【個人・法人対応】

2023.07.20

税務調査で無申告を指摘された場合、通常の納税額に加えて、追徴課税も納付することになります。この追徴課税がいくらになるのか、どのような計算になるのかは気になるところです。 ここでは、追徴課税の計算方法について、具体例を挙げてわかりやすく解説しています。 無申告を続けており、いくら追徴課税がくるか不安を抱えている方は税理士法人松本までお電話ください。



そもそも追徴課税って?

まずは、追徴課税の概要と、どういった場合に追徴課税の対象となるかについて見ていきましょう。

過去に申告漏れなどがあった場合に追加で課税される税金

追徴課税とは、過去の税額が実際よりも少なかったり、申告が漏れていた場合、期限を過ぎて納税や申告したりした場合などに課税される税金のことです。 追徴課税には延滞税や過少申告加算税などいくつかの種類があり、いずれも懲罰的な意味合いを持っています。

追徴課税の種類

追徴課税として加算される税金の種類には、以下のようなものがあります。 延滞税:各税金について、定められた納付期限よりも遅れて納付する場合に加算される税金です。法定納付期限から、全額納付されるまでの日に応じて定められた税率によって計算されます。 無申告加算税:期限を過ぎて提出された申告書にもとづいて加算される税金です。税務調査前に自己申告した場合と、税務調査によって無申告が判明した場合で税率が変わります。また、一定要件を満たしている場合には、期限後の申告であっても加算されない場合もあります。 重加算税:申告漏れや無申告のうち、所得隠しや書類の改ざんなど、悪質であるとみなされる事例に対して加算される税金です。追徴課税の中でも税率が重く、決定すると通常の納税額をはるかに上回る納税義務が生じる可能性もあります。 過少申告加算税:税務調査などで申告漏れや計上ミスなどが判明し、税務署から指摘を受けて修正申告を行なった場合に課税される税金です。 不納付加算税:事業者が支払うべき給与や報酬に対して発生する源泉所得税について、定められた期限内に納付しなかった場合に課税される税金です。期限に遅れたことに気づき自主的に納付した場合と、税務署から指摘を受けて納付した場合とで税額がことなります。

追徴課税の計算方法

上記の追徴課税が決定した場合、税金をいくら払うことになるのでしょうか。いくつかの事例を挙げて、それぞれの計算方法について以下で更に詳しく見ていきましょう。

税務調査で指摘を受けたか、自主申告したかで税率がことなる

追徴課税は、納めるべき税金に対して定められた税率を加算して計算します。納税額によって税率がことなるものもありますが、税務調査で指摘を受けた場合と、自主的に気づいて申告した場合とで大きくことなるものが多くなっています。

【追徴課税の計算事例】税務調査で指摘を受けた場合

税務調査で申告漏れが判明し、100万円の税金を新たに納付する必要がある場合の追徴課税について計算してみましょう。

申告漏れがあり、修正申告する場合

特に悪質だとみなされず、税務調査で申告漏れの指摘を受けた場合、過少申告加算税の課税対象となります。 過少申告加算税の税率は、50万円までは税額の10%、50万円を超える部分は15%となるため、50万円×10%と50万円×15%で、過少申告加算税額は125,000円となります。

無申告が判明した場合

無申告が判明した場合は、無申告加算税の課税対象となります。 無申告加算税の税率は、50万円までは税額の15%、50万円を超える部分は20%となるため、50万円×15%と50万円×20%で、無申告加算税額は175,000円となります。

悪質であるとみなされた場合

悪質であるとみなされた場合は、税率の重い重加算税が課税されることとなります。 重加算税の税率:不納付加算税・過少申告加算税に代えて35%、または無申告加算税に代えて40%となるため、過少申告の場合は100万円×35%で重加算税額は350,000万円、無申告の場合は100万円×40%で400,000円となります。 このように、本来100万円の納付で済む税額が、追徴課税によって最大1.4倍まで大きくなってしまう可能性があるのです。 また、源泉所得税の不納付があった場合には、税額の10%にあたる不納付加算税が課税されます。これらの追徴課税に加え、更に利息のような意味合いで、年2.7%~14.6%の延滞税も加算されます。

税務調査を受ける前に自主的に修正申告した場合

上記の計算は、税務調査で指摘を受けて修正申告した場合の税額です。もし税務調査で指摘を受ける前に計上ミスや申告漏れが判明し、自主的に修正申告をした場合の追徴課税は以下のようになります。

過少申告加算税:課税なし
重加算税:課税なし
無申告加算税:税額の5%
不納付加算税:税額の5%

上記に加えて、納付するべき税額が修正で増えるため、本来の納付期限から追加の税金を全額納付するまでの期間に対して延滞税がかかります。それでも、税務調査で指摘を受けた場合に比べると、自主申告によって課せられる追徴課税は少額であることがわかります。そろそろ税務調査が入りそうと感じている方は一度税理士法人松本までご連絡ください。



追徴課税はどこまで遡って支払う必要がある?

税務調査で指摘される申告の期間は、どこまで遡って行われるのでしょうか。

税務調査で調べられる期間は原則3期分

税務調査で遡って調べられる期間は、直近から3期分となるのが一般的です。上記の計算で判明した税額が前年度のみとした場合、それ以前にも申告漏れが判明すれば、追徴課税は更に重いものとなるでしょう。

最長で7年まで遡って指摘される場合も

また、重加算税の対象となるような悪質性があると判断された場合には、3年よりも前まで遡って調査を受ける場合もあります。 過去の申告で問題が見つかった場合は5年、悪質な問題が見つかった場合は、最長で7年分まで調査される可能性があるでしょう。 重い追徴課税の対象とならないためには ・ミスや申告漏れに気づいたら、できるだけ早く自主的に修正申告を行う ・税務調査で指摘を受ける前に修正する ・問題があるとみなされるリスクを避ける といったポイントを理解して、過去の申告済み書類や帳簿についてこまめにチェックすることが大切です。

まとめ

過去に申告した内容にミスや申告漏れがあった場合、本来納めるべき税金に加えて、追徴課税が課せられることとなります。特に税務調査で悪質性があると指摘を受けた場合は重い重加算税の課税対象となるため注意が必要です。追徴課税を少しでも抑えたいなら、税務調査を受ける前にミスがないかを確認し、自主的に修正を行なうことが大切となります。

税務調査とは?調査内容や流れ、対象になりやすいケースまで解説!

2023.07.15

会社や個人事業主として経営をしている場合、税務調査という言葉を1度は耳にした経験があるのではないでしょうか。自分のところにもやって来るのか、それはどんな時に来るのか、どのような点が指摘されるのかなど、気になることは多いものです。
この記事では、税務調査とはどのようなものなのか、調査の流れに加え、調査の対象となりやすいケースと事前の対策について解説しています。税務調査に関する疑問を網羅した内容となっていますので、今後の参考としてお役立てください。税務署から連絡が来て、税務調査にこれから入るという方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



税務調査とは?

税務調査とは、税務署に提出された申告内容が正しいかどうかを帳簿書類などで確認し、申告内容に誤りが認められた場合や、申告する義務がありながら申告していなかったことが判明した場合に、納税者に対して是正を求める目的があります。
税務調査は、法定化された調査手続きを遵守するとともに、納税者の主張を正確に把握し、的確な事実認定に基づいて行われるものです。


国税局や税務署が納税者の適正な申告納税を実施しているか確認する調査

税務調査とは、所得税や法人税、相続税など、毎年提出される申告書について、その内容が適正な申告となっているか、適正な納税かを調べる目的で実施されるものです。
税務調査は国税局査察部や国税庁の管轄である税務署によって行われ、その統計やデータは毎年国税庁のホームページで公表されています。
税務調査の対象となるのは、株式会社などの企業やフリーランス、個人事業主のほか、副業をしているサラリーマンも含まれます。相続税の税務調査も含めると、対象となる範囲はかなり広くなると言えるでしょう。
税務調査には、事前通知のうえ納税者が協力するかたちで行う「任意調査」と、事前通知なく強制的に実施される「強制調査」の2種類に大きく分けられます。
税務調査のほとんどは、事前に調査する旨の内容が伝えられる任意調査です。強制調査では事前の通知なく、抜き打ち的に突然調査員が訪れます。強制調査は、悪質性が疑われる場合に、夜逃げや証拠隠滅を防止する目的で通知なく行われるものです。


国税局や税務署からの税務調査は拒否できるか?

強制調査はある日突然調査員がやって来て、強制的に調査を実施できるものであるため、対象者は拒否することができません。
任意調査の場合も「任意」と呼ばれているものの、正当な理由なく拒絶することは法律で罰則の対象とされているため、基本的には拒否できないものと理解しておきましょう。
拒否や拒絶はもちろん、調査の妨害行為なども罰則の対象となり、1年以下の懲役または50万円以下の罰金刑に処される可能性があります。
国税通則法 第128条


税務調査は怖い?怖くない?

「強制調査」「ペナルティ」「懲役または罰金」などと聞くと、税務調査に対して恐怖感を覚える人も少なくないでしょう。しかし、多くの税務調査は穏やかに進みますし、調査する側の税務署もむやみに営業をストップさせるような調査をしたり、威嚇するような態度を取ったりしてはならないという制約が課されています。
そもそも税務調査は、申告をしている人なら誰のもとにもやって来る可能性があるものです。適正な申告や納税していれば、むやみに怖がるものではないと理解しておきましょう。


税務調査の頻度や確率はどのくらい?

税務調査がどんな時に来るのかは、明確な時期が示されているわけではありません。しかし、通常は3~5年に1度程度調査されると言われています。
法人の場合、開業後10年以内に1度は調査を受けるとも言われていますが、もっと早く申告初年度でくるケースや、10年以上経過してから調査対象となるケースなどさまざまです。
また、法人だけでなくフリーランスや副業のサラリーマンも調査対象となる可能性があります。
営業の妨げとならないような配慮はされるものの、最低でも3年分は遡って調査されるため、帳簿や書類を管理している部署にとってはそれなりの負担となるでしょう。

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税務調査で対象となりやすい会社や個人事業主のケースとは?

税務調査は会社や個人事業主として経営をしている場合は誰にでも訪れる可能性がありますが、対象となりやすいケースがあるのも事実です。税務調査を受けやすい時期や業種などについて解説しましょう。


税務調査が増える時期は?

税務署でも、繁忙期には税務調査件数は減少します。通常の業務が落ち着き、調査に人員を投入できる時期に比例して、調査件数も増えるのです。
具体的な時期としては、確定申告の提出期限前後や、人事異動が実施される7月頃までは税務署の繁忙期となります。そのため、人事異動が落ち着く夏から秋、冬にかけて、税務調査は多くなる場合が多いでしょう。
実際に調査対象となる企業などを訪問して行う任意調査は「実地調査」と呼ばれます。実地調査が行われていなくても、税務署内で申告内容を確認し、実地調査をするべきか判断する「準備調査」の対象となっている場合もあるのです。
税務調査の連絡を受ける頃には、事前にある程度の情報を掴まれている場合も多いため、基本的に嘘や不正は見抜かれると思っていた方がよいでしょう。
また、繁忙期や人事異動時期であっても、割合は少なめですが実施されている税務調査もあります。


税務調査の対象となりやすい業種はある?

会社でも個人でも、どんな業種でも税務調査の可能性はありますが、過去のデータから不正や申告漏れなどの件数が多い業種の場合は、調査対象にされやすい可能性があるでしょう。
調査対象とされやすい業種には、飲食店や風俗店、IT関連業、建設業などが挙げられます。FXやデイトレード、仮想通貨など、投資で生計を立てている人も要注意です。これらの業種に携わっている場合は、1度税理士などの専門家からアドバイスを受けることをおすすめします。



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税務調査の対象となりやすい申告内容はある?

調査対象になりやすい業種以外にも、現金取引が多く入出金履歴を辿りにくいケースや、消費税の課税対象とならない海外との取引が多いケースなどは、不正を働きやすいため念入りに調査されるでしょう。急に売上がUPした企業や、売上と経費のバランスがおかしい、前年度と計上額が大幅に異なるといったケースも要注意です。税務署が利用しているデータベースで異常値としてピックアップされることがあるため、調査の対象にされやすいでしょう。


税務調査はどんな感じ?実際の流れを解説

実際に税務調査が来た場合には、どのような流れで進んでいくのでしょうか。ほとんどのケースで実施される任意調査を例に挙げて、一般的な流れを解説していきます。


税務署から事前通知~日程の決定

任意調査では、税務調査で訪問する旨の電話連絡を事前に受けることとなります。いつ頃電話連絡があるかについては一概には言えませんが、ある程度準備できる余裕は持たせてもらえることが多いようです。
税務署の方でも、せっかく訪問したのに調査に必要な書類やデータがなかったり、担当者が不在だったりすれば、時間と人員が無駄になってしまいます。
責任者が通院や遠方出張しているなど、やむを得ない事情の場合は、ある程度日程調整にも応じてもらえるでしょう。


訪問~税務調査開始

調査日当日は、2~3人の調査員がやって来ます。調査前には、申告内容の確認で税務調査を行うこと、実施期間や担当者の紹介などの説明を受けて開始されます。
1日の調査時間は午前中から夕方頃までで、お昼には休憩時間も設けられるのが一般的です。調査期間中は税務署からの質問に答える必要があるため、代表や経理責任者は同席する必要があります。
調査は静かに行われ、時には和やかに談笑しながら進むケースもありますが、調査は既に始まっているため、しっかりと対応しましょう。


1~3日程度で調査後、後日結果の連絡を受ける

調査期間は1~3日間となることが多く、調査が終わったら1ヵ月前後で結果の連絡を受けることとなります。
基本は指摘された箇所について修正申告となるケースが多く、悪質でなければ重加算税の対象となることもありません。
正しく申告できていれば、意外とあっけなく終わって拍子抜けする場合もあるでしょう。しかし、緊張して必要以上に怖がるなどして挙動不審な態度を取ると「何か隠しているのでは」と疑われる原因となりかねないため注意が必要です。


税務調査で注意したいポイントは?

税務調査中に注意したいポイントとしては「調査を妨害しない」「毅然とした態度で臨む」の2点が重要です。
調査官といえども人間ですから、会話や受け取り方の相性などが異なる場合もあります。ありもしない疑いなどをかけられて、つい感情的に対応しそうになるケースもあるでしょう。
逆に、質問に簡潔にわかりやすく説明できなかったり、ごまかしたりしてしまうと、虚偽の発言や申告をしていると疑われてしまうかもしれません。
感情的になって調査を妨害することなく、かつ正しいことは毅然と主張できることが大切です。対応に自信がない場合は、税理士などの専門家からサポートを受けるとよいでしょう。
書類の抜けや漏れなど、基本的なミスなどがないかも要チェックです。税務調査前にミスが見つかった場合は、指摘を受ける前に修正申告する方法もあります。


税務調査の連絡・事前通知が来たらどうすればいい?

税務調査の連絡や、事前通知と呼ばれる連絡が税務署から実際に入った場合、どのように対応すればよいのかについて解説します。

重要な内容はメモを取りながら聞くことが大切

税務調査で訪問したい旨の電話連絡が税務署から入った場合、税務調査の対象となっていて実地調査を受けることが既に決まっており、その件に関する事前通知であると考えられます。
事前通知の電話では、以下に挙げる内容について口頭で伝えられるため、しっかりとメモを取っておくとよいでしょう。
●税務調査で訪問する予定の日時
●訪問場所
●訪問する調査員調査官の氏名及び所属
●調査の対象となる期間
●調査する書類やデータ類

上記以外でも、気になった点はメモを取ったり、意味がわからない名称内容などは質問したりしても構いません。
外出先での電話や相手が早口であるなど、うまく聞き取れない場合には、聞き直して正確な情報を控えるようにしましょう。


訪問日程を調整したい場合の対応方法

訪問日程について、都合が悪ければ調整可能であることは前章で説明した通りですが、いつ頃ならよいのか、税理士や経理担当などと調整が必要な場合は、即答できない場合もあるでしょう。これから税理士を探す場合も税理士に同席を依頼したい旨を伝え、税務調査に強い税理士を探しましょう。
その場合は、一旦日程について確認して折り返す旨を伝えて電話を切り、確認でき次第営業時間内に折り返すようにするとよいでしょう。
日程調整だけでなく、税務調査を受ける上うえで不安な点などがあれば、対象税目や対象期間などと併せて、立ち会いを依頼する税理士へ伝えることをおすすめします。


税務調査のチェックポイントは!?


税務調査では、どのような点をチェックされるのでしょうか。税務調査の流れに沿って、重要となるチェックポイントを解説していきます。


経営者の人格がチェックされている!

税務調査が始まると、まずは事業の概要などに関する経営者へのヒアリングが行われることが多いでしょう。
この時にチェックされているのは、実は事業の概要だけではありません。事業について説明する経営者の雰囲気や人となりなどについても、見られていると思った方がよいでしょう。
話し方が大雑把だったり、適当だったりしないか、語気を強めたり、攻撃的な話し口調だったりしないかなどを調査官は見ています。
ただ話しているだけでも、その人の実直さや誠実さ、いい加減さなどは滲み出るものです。多くの調査対象先へ訪問している税務調査のプロであれば、事業についてヒアリングしながら、人格についておよその判断はつけられると考えた方がよいでしょう。


帳簿やデータの管理方法や状態もチェック対象に

ヒアリングの次は、いよいよ書類やデータのチェック、閲覧といった本格的な調査へと入っていきます。この時に、数字の動きを見られるのはもちろんですが、ファイリングや並び方などの管理方法や、書類の状態などもチェック対象となっています。
見やすいように月別に並べられているか、上下逆さまになっていたり、バラバラになっていたりしないかといった点もチェックされていると思った方がよいでしょう。
書類を出してくるのに時間がかかる、探しても出てこなかった、といった場合、証拠の隠ぺいや不正を働いていると疑われてしまう可能性もあります。
こうしたリスクを避けるためにも、書類やデータはすぐに出せるよう整えておくことが大切です。


従業員や家族とのやり取りが見られている場合も

書類や直接の会話に加えて、経営者と従業員や家族とのやり取りがチェックされている場合もあります。
従業員や家族の証言と経営者の証言に食い違いがある、書類と従業員の意見が異なるなど、辻褄の合わないことは疑われる可能性が高まってしまいます。


ほかにもある!その他のチェックポイント

上記で挙げた点以外にも、取引先の一覧にない企業や銀行からの粗品、カレンダーがあれば、隠している取引の存在があるのでは、と疑われる場合があるでしょう。
プライベートの出費と経費が混同されていないか、消費税の納税を不正に免れていないか、といった点もチェックされる可能性が高いと言えます。
経費と証明できるレシートや領収書は必ず保管して、すぐに提出できるようにしておきましょう。

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領収書が無い場合はどうすればいいのか?

税務調査では、会話の内容や書類の状態を見られることに加え、領収書がない、ゴソゴソ探してすぐに出てこない、といった行動はマイナスになりやすいことは上記で説明した通りです。
もし調査前に領収書がないことが発覚した場合は、諦めずに以下の点を確認しましょう。
●再発行が可能か
●出金伝票で対応できるか
●支払証明書など、領収書に代わる書類が出せるか

これらの対処が可能であれば、領収書がなくても認めてもらえる場合があります。領収書による証明ができないと、経費として認められない可能性があるだけでなく、消費税の控除もなくなってしまう可能性があるため、しっかり管理とチェックをしておきましょう。

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税務調査を怖がらないための対策とは?

税務調査を必要以上に怖れないためには、日頃から調査に備えた対策を取っておくことが大切です。以下を参考に、税務調査対策が取れているかチェックしてみましょう。


帳簿や書類の整理を行う

請求書や領収書などは月別にまとめ、見やすいようにファイリングしておきましょう。紛失している書類があれば再発行できるものは手配して、極力抜けや漏れのないように整えることが大切です。書類と帳簿のデータが合致しているかどうかも確認しましょう。


勘定科目はここをチェック!

帳簿上の勘定科目では、人件費や交際費は必ず調査でチェックされることとなります。人件費を操作していないか、タイムカードと伝票の担当者に相違がないか、架空人件費を計上していないかなどがチェックされます。
交際費は私的な支出を経費にしていないか、領収書がないのに経費計上していないかといった点も確認されるでしょう。
人件費と交際費以外にも、消費税の課税事業者を免れるための帳簿操作をしていないか、売上の過少申告や仕入費用の操作がないかなども見られることとなります。
見落としがちなのが、印紙税の貼付漏れです。契約書や領収書などに貼付が必要な収入印紙が抜けていた場合、通常の3倍の印紙税を支払うこととなります。件数によっては多額となるため、貼付漏れがないかもチェックしましょう。
書類と銀行の入出金履歴と帳簿が合っているか、といった基本的なポイントから、タイムカードや交際費のレシート内訳など、細部にわたって調査される場合もあります。ここで挙げた以外にも、さまざまな科目が調査される可能性があるでしょう。


無申告の方は1日も早い確定申告を

申告内容が正しいかどうかを確認する税務調査ですが、申告自体をしていない無申告事業者には、特に厳しい調査を実施しています。そのため「申告しなければ調査されることもないだろう」と考えるのは間違いです。
税務調査で無申告を指摘されれば、重加算税など重い追徴課税の対象となってしまいます。それが何年も遡って適用されることとなれば、多額の税金を一括で支払わなければならなくなるでしょう。
現在無申告の状態であるなら、一刻も早く確定申告を行うことをおすすめします。無申告からの確定申告をサポートしている税理士事務所もあるため、恥ずかしがらずに相談してみましょう。



こんなにある!税務調査対策を税理士へ依頼するメリット

無申告の場合も、毎年申告している場合も、税理士へ依頼した方が多くのメリットを得ることができます。
顧問を依頼している税理士がいる場合、税務調査の連絡や質問も、税理士のもとへ問い合わせてもらうことができます。税務署の疑問に対して税理士が明確に対応できれば、実地調査自体が回避できる可能性もあるのです。
税務調査は1度だけでなく、営業を続けていればその後何度も調査対象となる可能性があります。税理士へ依頼していれば、毎期の申告で大きなミスをしたり、勘違いで科目の入力ミスをしたりして指摘を受けるリスクも減らせます。そのうえ、節税対策についてもアドバイスがもらえるため、結果的に支出を大きく抑えることができるでしょう。


まとめ

税務調査では、基本的には申告内容や納税額が適正であるかを調査する目的で行われるため、正しく申告できていれば怖がる必要のないものです。とはいえ、自分の力だけでは、緊張せず明確に説明や対応するには限界があるでしょう。不安な場合は税金の専門家である税理士のサポートを受けて、税務調査に怯えることなく事業を続けていきましょう。


太陽光発電事業者にも税務調査のメスが!?所得隠しによる追徴課税を受けないためには…

2023.07.14

ソーラーパネルを設置して太陽光発電を行う太陽光発電事業者が増えています。法人が事業として太陽光発電を行っている場合も、個人事業主として太陽光発電を行っている場合も、太陽光発電によって発電した電気を売り、利益を得ている場合には確定申告が必要です。
しかし、太陽光発電事業者の中には正しく申告をしていないケースが多くみられるようになってきため、昨今では太陽光発電事業者を対象とした大掛かりな税務調査が行われるようになっています。もし、売電による所得を申告せずに、適正な納税を行っていない場合は所得隠しと捉えられ、追徴課税が行われる可能性もあります。
今回は、太陽光発電事業者を対象とした税務調査の例と、税務調査時の注意点などについてご説明します。


太陽光発電事業者を対象とした税務調査の例

2011年の東日本大震災をきっかけに、太陽光発電への注目が高まり、太陽光発電事業者の数が一気に増えました。そのため、太陽光発電事業者を対象とした税務調査も多く行われるようになり、税務調査の結果として所得隠しや申告漏れが発覚した例は少なくありません。太陽光発電事業者の申告漏れ、脱税が発覚した主な例としては、以下のようなものがあります。


200社の太陽光発電事業者を対象とした税務調査で発覚した70億円の申告漏れ

2018年には、個人事業者も含む約200社の太陽光発電事業者を対象とした税務調査が行われました。税務調査により発覚した申告漏れの額は、なんと約70億円にも上るものでした。申告漏れの多くは、収入の一部を適切に計上せずに売上を低く装って所得を低く見せたり、実際には費用が発生していないにもかかわらず、架空の支払手数料を経費として計上して利益を圧縮したりといった手口が用いられていました。また、この税務調査では約70億円のうち約40億円が意図的な所得隠しとして認定されました。


太陽光発電事業者5社による30億円の所得隠し

2020年には太陽光発電事業を行う5社に税務調査が入り、4年間で約30億円もの所得隠しが行われていたことが発覚しました。経費を引いた課税対象額は約19億円であり、約6億円もの追徴課税が課せられました。


その他の太陽光発電事業者の脱税

このほかにも、太陽光発電設備の導入をめぐって架空の外注費を計上し、約1億3,000万円の脱税をしたとして告発された事件や、太陽光発電所の売電権を売却して得た所得を隠して、約1億4,400万円を脱税した疑いで起訴された事件など、太陽光発電をめぐる所得隠しや脱税事件が頻発しています。


太陽光発電事業者には税務署が目を光らせている可能性も

このように、太陽光発電事業者による所得隠しや脱税が後を絶たないことから、太陽光発電事業者は税務署から不正申告や脱税の多い業種であると認識されている可能性があります。太陽光発電事業を行い、利益を得ているようであれば、しっかりと確定申告を行い、正しく納税しなければなりません。税務調査が入り、現在お困りの方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



税務調査による追徴課税とは

先ほどご紹介した30億円もの所得隠しが発覚した2020年の事件では、6億円の追徴課税が課せられました。太陽光発電事業者だけでなく、申告すべき所得の額に誤りがあり、正しい納税が行われていなかったことが税務調査で発覚した場合には追徴課税が課せられます。
追徴課税とは、不足している税額分にペナルティとして科せられる延滞税や加算税を加えたものです。
延滞税は定められた期限までに納税しなかったことに対するペナルティで、納付期限の翌日から納付された日までの日数を元に計算されるものです。加算税は、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税の4つに分けられます。
脱税があったと税務署に判断された場合には、最も重い重加算税が課せられます。重加算税の税率は過少申告加算税・不納付加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%の税率で課されることになります。
このように、税務調査によって正しく申告していなかったことが発覚した場合には、本来の税額に不足している額を納めるだけでなく、さらにペナルティである延滞税や加算税を加えた追徴課税が課せられるのです。追徴課税には、納付期限の猶予はなく、一括ですぐに支払うことが求められます。


太陽光発電事業者に税務調査が入った場合のポイントは

太陽光発電事業者に税務調査が入った場合は、主に次の点を指摘されることが多くなっています。


太陽光発電システム導入時の付随費用の扱いについて

発電量が10kW以上の能力を持つ太陽光発電システムを導入している場合は、使用目的に関わらず太陽光発電システムは固定資産としてみなされます。また、発電量が10kW以下の住宅用太陽光発電システムを設置している場合は、屋根と一体型の太陽光発電システムは固定資産とみなされ、屋根と一体型ではないシステムは固定資産とはみなされません。
固定資産を計上する場合、太陽光発電システムだけでなく、太陽光パネルを設置するために行った整地費用など、太陽光発電システムの取得に付随した費用も資産として計上しなければなりません。太陽光発電システムの耐用年数は17年を適用するのが一般的であるため、太陽光発電システムの取得にかかった費用は17年にわたって、減価償却費として計上していくようになります。そのため、取得時に必要になった整地費用などを経費として処理してしまうと、経費に計上される額が多くなりすぎてしまい、経費を水増しした所得隠しと疑われる可能性があります。


まとめ

太陽光発電事業をめぐる脱税事件や所得漏れの事件が多く発生しており、税務署では積極的に太陽光発電事業者への税務調査を行っています。もしかしたら、税務調査の対象になるかもしれないとご不安になる場合もあるかもしれません。しかし一般的に、脱税の容疑などがかけられていない場合の税務調査は、事前通知が行われます。もし、税務署から税務調査の通知が入った場合は、税理士法人松本にご連絡ください。税務調査に詳しい税理士が、税務署からの質問などにも的確に対応させていただきます。



こちらの記事は幻冬舎GOLD ONLINEにも掲載されております。


税務調査に入られる確率が高い個人事業主の所得はいくらからなの?

2023.07.08

「個人事業主は税務調査に入られる確率が少ない」と耳にすることがあります。裏を返せば、個人事業主でも税務調査がやって来る可能性は十分にあると言えるでしょう。 ここでは、所得がいくらになれば個人事業主でも税務調査を受ける確率が高まるのか、また税務調査に入られやすい個人事業主の特徴などについて解説しています。 すでに税務調査が入っている個人事業主の方はいますぐ税理士法人松本までご相談ください。



個人事業主へ実施される税務調査の割合は?

まずは、毎年行われている税務調査のデータや割合をもとに、個人事業主への税務調査の実態について見ていきましょう。

国税庁では法人の3%程度に税務調査を実施

国税庁では、所得税の申告件数や消費税に関する税務調査を実施した件数などについて、毎年データを公表しています。 所得税や相続税、消費税など簡易調査を合わせると、例年60万件ほどの税務調査が実施されており、税務調査が実施される確率は「実調率」から読み取ることが可能です。 平成28年度の法人税に対する実調率は3.2%となっており、法人に対しては、3%程度の割合で税務調査が行なわれたことがわかります。

個人事業主への税務調査の割合は?

一方、個人事業主が主な対象となる所得税についての実調率は1.1%となっており、個人事業主へは1%ほどの割合で税務調査が行われたことになります。 この1%の数字を皆さん高いと思いますか、低いと思いますか。
例えば、テレアポの成功率は0.1~10%未満だと言われており、テレアポ初心者~中級者レベルだと0.1~2%程度とのことです。 皆さんも営業の電話を受けて、少しだけ話を聞いてみようかなと思ったことはありませんか。その確率と同じ割合だと思うと、自分に税務調査は来ないだろうと考えてしまうのはとても危険だと思われたことでしょう。
ただし、これはあくまで申告されたものに対しての実調率となっており、申告自体をしていない無申告事業者への調査などは別途実施されていると考えると、データに上がらない税務調査の割合はもう少し高くなると考えられます。

税務署では特定の事業者をマークしている

平成30年の申告所得税件数は2,222万件となっており、税務署の職員や調査にあたる担当者の数には限りがあります。 そのため、申告件数すべてについて、税務署が同等の調査を実施するのは困難なものです。一定の条件に基づいてピックアップされた事業者に対して、より詳しい調査が行われていると考えるのが現実的でしょう。
では、どのような条件に該当する個人事業主が税務調査の対象となりやすいのでしょうか。 すでに税務調査が入っている方はこちらよりお電話ください。お近くの拠点よりお電話させていただきます。



税務署はどんな事業所への調査に力を入れている?

税務署は税務調査の目的として、以下のような点を重視しています。

海外との取引が多い

海外取引を多く行っている事業者は、消費税に対して適正な取引となっているかが注目されやすくなっています。 資産を隠す目的で海外へ移していないか、税金を回避するために国外で設立した会社を利用していないかなど、税金逃れを目的とした不正の取り締まりを強化しているようです。

シェアリングエコノミーに関わっている

民泊事業やフードデリバリー請負など、近年台頭しているシェアリングエコノミーに関わる事業についても、税務署では実態の把握に力を入れています。 適正な届出がなされているか、課税や記帳に関して正しく管理されているかといった観点で、是正の意味合いも含めて調査対象とする事例も多いようです。

富裕層への対応

税務調査を実施するには、数日かけて担当者を派遣して資料をチェックするなど、税務署の方でも手間と時間をある程度かける必要があります。 修正申告や追徴課税の額が大きくなりそうな事業者ほど、税務署としては積極的に調査したいと考えるのが現実であるともいえるでしょう。 多額の資産を保有していたり、急激に売り上げが伸びていたりする事業者などに対しては、大都市圏で専用のチームを設置して調査にあたっているようです。

無申告事業者の把握

計上ミスや修正申告といった申告済みの事業者だけでなく、そもそも申告自体をしていない事業者の把握についても、税務署では強化しています。 何年も無申告となっている事業者の場合、悪質性が認められれば、最大で7年分も遡って課税できるほか、重加算税などの重い追徴課税の対象とできるからです。



税務調査の対象となりやすい個人事業主の特徴は?

上記をふまえると、税務調査の対象となりやすい個人事業主には、以下のような特徴があると考えられます。

起業・開業後3年以上が経過している

起業や開業後経過した年月が長くなるほど、税務調査の対象となる確率は高まります。数年経過して気の緩みがないか、会計処理を間違ったまま理解していないかといった点以外に、原則として最低3年までは遡って調査できる点も無関係ではないでしょう。
もちろん、3年が経過する前に税務調査が入るケースもあれば、10年以上調査の対象とならないケースもあります。
とはいえ、開業後3年が経過していたら、過去の申告や資料などについて、改めてチェックしてみるとよいでしょう。

売上高が1,000万円を超える

売上高が1,000万円を超えると、個人事業主であっても消費税の納付義務が発生します。1,000万円以上が所得税の課税対象となると同時に、消費税についても調査対象となるため、税務調査に入られる確率は高まるでしょう。
また、1,000万円に少し満たない額での申告が続いている事業者についても、実際は消費税の納付義務があるのではないか、という観点から、調査の対象となりやすくなると予想されます。

海外投資やシェアリングエコノミーに関連する売上が多い

海外との取引といえば、従来までは輸出入や不動産投資などが主な事業となっていましたが、近年ではオンラインを利用して、さまざまな業種で海外取引が利用されています。 民泊事業やデリバリーの請負などで海外の企業と収支の取引がある暗号資産などの取引で、急激に大きな利益が出ているといった場合には、適正な申告ができているかを把握する目的で調査対象となる可能性もあるでしょう。

無申告事業者

無申告である実態は金融機関への情報照会や取引先への税務調査で発覚するほか、第三者からの密告などで判明することも多いものです。
これまで無申告を続けてきた場合は、本当に申告の必要がないのかも含めて、税理士などの専門家へ相談してみることをおすすめします。

税務調査に入られない対策も大切

ずっと無申告状態の場合は早急に確定申告を

ずっと無申告を続けていたけど「結婚することになり状況が変わった」「確定申告書控えの提出を求められた」「副業先に税務調査が入った」など、年齢を重ねるにつれ、環境が変化していきます。
また、2023年10月からはインボイス制度も始まります。インボイス制度が始まるにあたり、1000万円以上もらっている売上先から適格請求書発行事業者の登録番号を求められることもあります。このまま無申告を続けず、適切に確定申告を行いましょう。
期限後申告をすべて自分で行うのが不安な方は期限後申告もまとめて対応できる税理士法人松本までお気軽にご相談ください。


適正な経費計上を心がける

架空経費や外注費の計上はしていませんか。架空経費は重加算税の対象になる可能性が極めて高い内容です。早急に修正申告をし、加算税の負担を最小限に抑えるようにしましょう。
個人事業主は、仕事とプライベートの境目があいまいになりがちです。税務調査において、個人的な費用が経費に計上されていないかチェックされます。 住んでいる自宅の家賃を全額経費計上したり、プライベートと兼用で乗っている車両の費用やガソリン代も全額経費にしている方も見受けられます。 プライベートと兼用の場合は全額を経費計上することができず、一部を経費計上したい場合は、プライベートと事業の比率を合理的な基準により計算することが必要です。
税務調査で質問された時に困らないよう、家事按分比率を適切に定め、経費計上できる経費、できない経費をしっかり把握し、適正な申告を行うようにしましょう。

意外と大事な税理士署名

確定申告書に税理士の署名がある個人事業主の場合は、税理士の署名がない申告書を提出している個人事業主よりも税務調査が入りにくいと言われています。
理由としては、税理士が署名をしているということは、意図的な脱税の可能性が低く、申告内容のミスや申告漏れが少ないと税務署に判断されるためです。 要するに専門家のお墨付きがある確定申告書という見方をされるわけです。 だからと言って、税理士の署名があるから税務調査が絶対に入らないわけではありません。

まとめ

個人事業主が税務調査に入られる確率は全体としては多くはありませんが、所得税の課税対象となる売上が1,000万円に近いか、それ以上の場合は調査対象となる確率が高まります。 それ以外にも、税務調査に入られやすい特徴で挙げた点に心当たりがある場合は、税理士事務所などでアドバイスを受けてみるのがよいでしょう。

こちらの記事は幻冬舎GOLD ONLINEにも掲載されております。


脱税はバレる?脱税するとどうなる?その後の流れについて解説

2023.07.05

脱税や所得隠しというと、映画やドラマなどで大手企業や富裕層に国税庁の調査が入るイメージがあります。しかし、こうしたセンセーショナルなものでなくても、税務署から調査が入って申告漏れや脱税を指摘されるケースは多いのです。
ここでは、脱税や所得隠し、申告漏れなどが発覚する経緯や、その後の流れなどについて解説しています。 税務署から申告漏れや架空経費について指摘されている方は税理士法人松本までご相談ください。



脱税や所得隠し、申告漏れがバレてしまう理由は?

税務署内では、過去に調査対象とした膨大な脱税や所得隠しのデータを蓄積しています。ちょっとした隠ぺい工作などが簡単にバレてしまうのはこのためです。脱税や申告漏れ、所得隠しなどがバレやすい手口として、以下のようなものが挙げられます。

売上計上日の操作

決算月に計上するべき売上を意図的に翌月へ繰り越したり、納品書や請求書の日付をずらしたりといった行為は、売上の不正操作が疑われやすいものです。
金融機関への入出金状況や運送会社などへの履歴確認と併せて、取引先の調査などからも、日付の操作は発覚します。
金額が大きかったり、決算に関連する月に日付の相違があったりする場合、単純な入力ミスや思い違いなのか、意図的な操作なのかについて、税務調査で更に詳しく調べられることとなるでしょう。

売上額の過少申告

実際は営業していたのに休業していたように見せかける、営業時間を短く偽り、売上額を少なく計上するといった行為も、税務署の調査対象となれば発覚しやすいものです。
税務署では、調査対象となった店舗の営業時間を確認する目的で顧客として潜入したり、仕入れと実際の在庫との相違をチェックしたりするなど、さまざまな手法で隠ぺいや帳簿操作を暴くのです。

現金取引や海外取引が多い業者はチェックが厳しくなることも

銀行やクレジットカードなどの履歴に残らない現金による取引や、消費税の対象とならない海外取引を多く行っている事業者も注意が必要です。税務署では、こうした取引に対して税務調査の対象とすることが多く、チェックもより厳しいものになります。
取引先の企業が税務調査対象となって発覚するケースや、第三者からの通報、密告によって調査が始まるケースなどもあるため、不正を行ないやすい取引であるほど、正しい申告が重要だと考えた方がよいでしょう。

こうした取引以外にも、架空の接待費や交通費の計上、生活費の経費計上といった些細な不正でも、ひとたび税務調査が入れば指摘を受けて修正申告となり、追徴課税の対象となるケースもあります。
では、申告自体をしていない「無申告」の場合でも、税務調査の連絡が来るケースはあるのでしょうか。

税務署は無申告の事業者をどうやって調査している?

無申告の事業者について、税務署では以下のような手法で把握に努めています。

取引先への調査

自分自身は無申告で営業を続けていても、仕入れや売上を申告している取引先があれば、そこからの情報をもとに調査の手が伸びるケースもあります。
個人・法人を問わず、取引先が税務調査を受ければ、取引の際に交わした契約書類や個人情報をもとに、無申告の可能性がありそうな業者を洗い出すこともできるでしょう。

タレコミ・密告など

第三者によるタレコミや密告で、無申告が見つかるケースも少なくありません。恨みを買うような心当たりがなかったとしても、申告していないことをどこかでうっかり口に出していれば、ひそかに快く思わない人が通報する可能性もあります。
税務署でも、すべてのタレコミや密告に関して、平等に時間をかけて調査するわけではありません。中には、偽の情報やいわゆる「ガセネタ」が含まれている可能性もあるからです。
しかし、過去の蓄積されたモデルケースから可能性の高いタレコミを見分けて、調査対象とされてしまえば、かなり細かい部分まで調べられてしまうでしょう。
金融機関や役所に限らず、携帯電話や公共料金、住宅の契約・支払状況まで、税務署はあらゆる機関へ情報提供を求めることが可能です。
1度の無申告であれば、事業者に何らかの事情があって申告が遅れている可能性も考えられます。無申告の状態を何年も続けているほど、調査の対象となる可能性は年々高まると考えるべきでしょう。

税務署に脱税・申告漏れ・所得隠しがバレた場合はどうなる?

無申告や脱税、所得隠しなどが税務署にバレると、多くの場合以下のような流れを取ることとなります。

税務調査の連絡が入る

映画やドラマなどで、突然何の連絡もなく国税の査察官が調査にやって来るシーンを目にすることがありますが、多くの税務調査では、個人・法人を問わず事前に税務署より連絡を受けるケースがほとんどです。
事前連絡では税務調査で訪問したい旨を伝えられ、都合の良い日程についても、ある程度調整してもらうことができます。
税務署でも「訪問したのに担当者不在で調査が進まなかった」「資料が不足していて訪問が無駄になった」という事態は避けたいと考えています。調査自体を拒否することはできませんが、1週間程度であれば、過去の申告をチェックしたり、税理士などへ相談したりする猶予も作ることができるでしょう。

税務調査に要する期間は数日程度

税務調査で訪問を受ける期間は、3日前後であるのが一般的です。税務調査の担当者が2~3名で事務所を訪れ、パソコンや過去の請求書といった資料をチェックするほか、通帳やクレジットカードの明細なども確認されることがあります。
この間、通常の営業や取引に支障が出るケースもあるため、日程調整をしてもらえる場合は、繁忙期を避けるようにするとよいでしょう。

連絡なしに突然調査が入るケースもある

税務調査は事前の連絡があるのが基本とはいえ、中には突然調査員がやって来るケースもゼロではありません。
こうした場合、税務署ではかなりの確立で多額の脱税が行われていると考える証拠を掴んでいる事が多く、証拠隠滅を防ぐために連絡なく調査に訪れます。こうした調査では修正申告に加え、重い追徴課税は免れないと考えた方がよいでしょう。

まとめ

たとえ脱税や申告もれ、所得隠しについて税務署が把握していたとしても、勘違いや計算ミスといった可能性もあるため、正しい納税を指導する目的で調査が行われるケースが多いものです。
とはいえ、調査を受けてから課税されれば、通常よりも多くの税金を納めなければならなくなります。過去の申告書類で不安な点がある場合は、税務調査対応に実績を持つ税理士事務所の無料相談などを受けてみるとよいでしょう。




廃業後でも税務調査が来るって本当?どう対策すればいいの?

2023.06.28

会社が既に廃業後であっても、税務調査が来る可能性はあるのでしょうか。個人事業主が法人化した後に来る税務調査で、個人事業についての税務調査の対象となる可能性について気になる方も多いでしょう。
ここでは、廃業後に税務調査が来る可能性や、廃業後に必要となる手続きについてわかりやすく解説しています。税務調査の対策についても紹介していますので、廃業後の税務調査についての基礎知識としてお役立てください。廃業後に税務署より税務調査の連絡がきた方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



廃業後でも確定申告は必要なの?

「廃業したのだから、確定申告は必要ないだろう」と考えがちですが、以下のようなケースでは、廃業後であっても確定申告が必要となります。

廃業した年度が黒字だった場合

会社や事業を廃業する場合、一般的には経営不振であったり、大きな損失が出たりといった赤字計上が原因となることが多いものです。
しかし、赤字になっていないのに廃業するケースもあります。体調不良や経営者の高齢化、後継者の不在といった理由で廃業する場合もあるでしょう。
税務上で赤字となっている場合、廃業後に税申告する必要は基本的にはありませんが、廃業した年度が黒字だった場合は申告・納税が必要となります。

赤字でも申告が必要となるケース

廃業した年度が赤字でも、確定申告が必要となるケースが実はあります。会計的には赤字であったとしても、税法上で黒字となっていれば、申告しなければならないからです。
各種控除や繰越など、廃業した年が税法上黒字となるかどうかは、実際に申告する準備をしてみないと判断がつかないことも多いでしょう。

廃業後に税務調査が来ることはある?

たとえ廃業後であっても、以下のような理由から税務調査が来る可能性はあります。

廃業による不正を防ぐため

税務調査は廃業の有無に関わらず、どのような事業者のもとにもやって来る可能性があると考えるべきです。「廃業すれば税務調査は行われない」となれば、大きな黒字を上げた後に即廃業しようと考える業者も出てくるでしょう。
こうした不正を防ぐ目的もあり、廃業後であっても税務調査が来る可能性は少なくないのです。

法人化する前の個人事業分が無申告であった場合

個人事業主として営んでいた事業が拡大するなどして、どこかのタイミングで法人化する場合もあるでしょう。
法人化すると、申告時期は決算月から2ヵ月以内となり、通常の確定申告の時期とは異なります。
法人化して会社としての申告はしていても、それ以前に個人事業主として確定申告をする必要があった場合に、これを見落としていて無申告となっていると、税務調査で指摘されることとなるでしょう。
個人事業を廃業して法人化した場合であっても、税法上確定申告が必要な所得が出ていれば、申告しなければならないのです。

会社廃業後の申告が適切でなかった場合

個人事業の確定申告だけでなく、会社を廃業した場合の申告が適切でなかった場合も、税務調査の対象となりやすいでしょう。
会社を廃業した場合、通常の申告時期とは異なり、会社の清算処理時が確定申告のタイミングです。
廃業後の申告時期がズレている、または無申告状態となっていれば、適正な申告をするよう指導するのも税務調査の目的となります。
減価償却や廃業時経費計上など、適切な申告となっていないケースも調査されやすくなるでしょう。

廃業後の税務調査に備えて取るべき対策は?

会社や個人事業を廃業後に税務調査が来ることに備え、以下のような対策をとっておくようにしましょう。

帳簿や書類を7~10年は保管しておく

廃業後は、事業に関する書類やデータをすっきり処分したくなるかもしれません。しかし、廃業後に税務調査が来る可能性を考え、法で定められた期間中は書類を保管しておいた方がよいでしょう。
書類を保管するべき年数については、個人事業主であれば5~7年、法人であれば7~10年となっています。
これらの年数は「保管義務」として、法律で定められており、税務調査においても、最大で保管義務のある年数まで遡って調査対象となることもあるのです。
売上や仕入・経費に関連する書類は漏れや抜けのないようにして、科目や月別に整理して廃業後も大切に保管しておくようにしましょう。

無申告期間に気づいたら早急に申告する

廃業後に無申告となっている期間があることに気づいたら、できるだけ早めに申告することが大切です。
確定申告には毎年期限が設けられていますが、期限を過ぎていても申告は可能です。期限までに申告しなかったことで、延滞税や無申告加算税などは課せられる場合がありますが、無申告のまま税務調査が入り、追徴課税を受けることに比べれば軽いものとなります。
無申告の期間がないようにするのはもちろんですが、過去の申告に間違いがないかも念のためチェックしておきましょう。
必要であれば税理士へ相談するなどして修正申告することで、税務調査で指摘を受けるリスクや、税務調査そのものの対象となるリスクを減らすことができるでしょう。

廃業時の手続きや処理に困ったら税理士へ相談しよう

廃業時には、精算手続きのほかにも、廃業時にのみ必要となる会計上の処理などがあります。税法上で赤字となるかどうかの見極めや、個人事業主を廃業して法人化する際の手続きについても、思わぬ誤解やミスで税務調査の対象となるケースは少なくありません。
「廃業後であっても税務調査は来る」という前提で適切に申告・納税ができるよう、不安な点があれば税務調査のサポートに強い税理士事務所へ相談して進めましょう。



まとめ

廃業後であっても確定申告が必要なケースがあり、知らないばかりに無申告となっていたり、申告した内容に誤りがあったりすれば、廃業後に税務調査がやって来る可能性は高まります。
個人事業を廃業する場合も、会社を廃業する場合も、書類は大切に保管し、適正申告・適正納税することが大切です。
脱税行為や所得隠しといった不正がない点を説明できれば、税務調査がやって来ても安心して対応することができるでしょう。
不安な場合は起業や廃業、税務調査などの取扱実績がある税理士事務所の無料相談などを利用し、最後までしっかりと事業を締めくくりたいものです。

7年以上無申告だった場合、税務調査が入ったらどうなるの?

2023.06.01
7年以上無申告だった場合

税金についての知識があまりなく、時間がたってから無申告であることに気づいた場合はどうすればよいのでしょうか。 ここでは、7年以上無申告の状態だった場合に税務調査が入る可能性やその後の流れなどについて解説しています。
もし、すでに税務調査が入っており、対応に困っているお客様は初回電話相談無料にて、いますぐ相談予約をください。 お客様のお近くの拠点から折り返しご連絡させていただきます。



無申告だった場合に税務調査が入る可能性

無申告であることは税務署にばれている可能性が高い

無申告とは、申告するべき収入を申告していない状態をさします。 通常、税務調査は申告している内容に虚偽やミスがないかを確認する目的で実施されることが多いため、「申告自体をしていなければ、税務調査は来ないだろう」と考える人がいるかもしれません。 しかし、収入を得た取引先や顧客が申告をしていたり、税務調査を受けたりした場合、そこから無申告がばれることもあります。 税務署では申告ミスや所得の偽装よりも、申告自体をしていないケースを重く見るため、独自の情報網で無申告者を把握し、マークしていることが多いのです。 7年以上無申告で、現在税務署から何も連絡を受けていなかったとしても、そのことがすでにばれていると考えた方がよいでしょう。

無申告の場合に調べられる期間は通常の税務調査より長くなる

税務調査の対象となった場合、基本的には過去3年分にさかのぼって調査されることとなります。しかし、無申告で税務調査となった場合、この期間はさらに長くなってしまうのです。 無申告の税務調査の場合、過去5年分までさかのぼって調査対象とされます。もしその5年間で所得隠しや脱税行為が明らかとなった場合、さらにその2年前まで調査対象となるため、通算して7年分の税金を徴収され、さらに延滞税や無申告加算税、重加算税なども徴収される可能性があります。 正直に毎年申告しているよりも、結果的にかなり多額の税金を納税しなければならなくなるため、一刻も早く申告を行うことをおすすめします。
無申告期間が長く、自分ではどうしたらいいか対応に困っているお客様は初回電話相談無料にて、いますぐ相談予約をください。 お客様のお近くの拠点から折り返しご連絡させていただきます。



無申告で今から申告する場合の注意点

無申告でも税務調査が入ること、通常の調査よりも長期にわたって調査対象となること、ペナルティによって多額の納税が発生することから、1日も早く申告した方がよいのは明白です。 今から申告する場合には、以下の点にも注意しましょう。

申告漏れのないようにする

通常の確定申告では、前年度の1年間に発生した所得を申告し、1年分の税金を納めます。 無申告状態を長期間続けているなら、前年度より前の年についてもまとめて申告した方がよいでしょう。 前年度分について申告しても、2年前や3年前、それ以上前の収入について申告していなければ、その期間について無申告である状況は変わりません。 税務調査が入ってしまえば無申告であることは必ず指摘されるため、過去に申告していない期間については、少なくとも5年分は申告することをおすすめします。

虚偽の申告を疑われないようにする

無申告の状態からまとめて申告を行う場合、毎年申告をおこなっている人よりも税務署からの追及は厳しくなるでしょう。 「申告を怠っている人から提出された申告内容が、果たして正しいかどうか」という観点でチェックされることは容易に予想できますから、故意でなかったとしても、脱税や収入を低く見せる操作を疑われるような内容となっていないことが大切となります。 領収書には名前や目的がしっかりと記載されているか、多額の現金取引で入出金の証拠があいまいでないか、交通費や経費の二重計上が発生していないかなど、申告前には念入りにチェックしておいた方がよいでしょう。

申告するすべての期間の書類を揃える

無申告を続けている人には、自分で記帳をしたことがない、何が接待費で何が雑費となるかわからない、そもそも複式簿記の概念がよくわからない、という場合も多いものです。 自分ではどうしてよいかわからない場合、税理士事務所などへ相談して、少しでも正しい申告書を作成して提出する必要があります。 税理士へ書類の作成を依頼する場合でも、申告する期間すべての請求書や領収書、レシートなどが必要です。 売上を証明できる請求書や、経費を証明できるレシートはできる限り揃え、年度ごと、月別にまとめましょう。

無申告状態から抜け出すための最善の対策は?

気軽な気持ちで無申告状態を続けていたとしても、税務署からは重い脱税行為をしていると疑われかねず、多額の納税とペナルティが発生するリスクは高まります。一刻も早く無申告状態から抜け出すためには、税申告のプロフェッショナルのサポートを受けるのが最善の対策であるといえるでしょう。

税務調査や無申告のサポート実績がある税理士事務所を見つける

税申告の専門家とはいえ、すべての税理士が税務調査の対応や無申告からの申告サポートに長けているわけではありません。 税理士事務所には中小企業の法人税申告や相続税申告など、それぞれ得意分野があり、たとえ知名度の高い税理士事務所であっても、個人の無申告のサポート依頼に応じてくれなかったり、高い報酬の割に親身に相談に乗ってくれなかったりするケースも少なくないでしょう。 まずは税務調査への対応や、無申告から申告書作成する際のサポート実績を多く持っている税理士事務所へ問い合わせ、無料相談などを利用して依頼できるかどうかを確認するとよいでしょう。

実績のある税理士へ申告を依頼するメリットは?

「無申告から申告するのに、税金を支払ううえに税理士へ依頼したら報酬を余計に支払うことになるのでは」と考えたくなるかもしれません。しかし、税理士へ依頼して正しい申告書を作成し、税務調査では同席を依頼することによって、税務署から追及された場合の対応や、少しでも節税できる策をアドバイスしてもらうことが可能となります。 支払う税金を正当な形で可能な限り小さく抑えられ、なおかつ申告や税務調査にかかる労力や時間を大幅に軽減できるなら、税理士へ支払う報酬を差し引いても事業者の負担はかなり軽くなるでしょう。

まとめ

7年以上無申告状態が続いている場合、最悪のケースではすべての期間にさかのぼって税金を納めなければならないうえ、重いペナルティが科せられる事態となってしまいます。 無申告であっても税務署に把握されており、いつ税務調査が入ってもおかしくないと考えて、できるだけ早い段階で税理士事務所へ相談することを強くおすすめします。 こちらの記事は幻冬舎GOLD ONLINEにも掲載されております。


オンラインを活用した国税庁のリモート税務調査

2023.05.19

新型コロナウィルスの感染拡大をきっかけに、対面の機会を抑制するオンライン会議やリモートワークが広がりました。調査時に納税者と対面することから税務調査においても感染拡大を懸念して、コロナ禍では調査数が減少したという事実があります。そのため、国税庁ではオンライン会議システム等を活用したリモート税務調査を実施しています。
今回は、オンラインを活用したリモート税務調査についてご説明します。



オンラインのリモート税務調査とは

国税庁では、2020年10月から納税者の機器と接続環境を利用したリモート税務調査を実施しています。また、2022年10月からは一部の大規模法人を対象とし、国税庁の機器と通信環境を利用したリモート税務調査を試行的に実施しています。


臨場型のリモート税務調査

2020年から実施されたリモート税務調査では、大規模な法人を対象とし、法人のインターネット回線とオンライン会議システムを活用して調査を行っています。また、2021年からは中小規模の法人に対してもセキュリティ保全がされたオンライン会議システムであることを前提にリモート税務調査を開始しています。
納税者側の通信環境を利用して行われているリモート税務調査では、リモートと言いつつも、調査官が法人に赴き、法人側の対象者とは異なる部屋からオンライン会議システムを使って質問等を行うという仕組みになっています。また、対面式の調査で提示が必要となる帳簿等の資料はあらかじめ紙の資料として用意したり、電子的にコピーを用意したりといった方法がとられています。


2022年10月から試行開始したリモート税務調査

2022年10月から試行が開始されたオンラインによるリモート税務調査では、国税庁の機器と通信環境を利用して調査が行われています。これにより、国税局は国税局で、納税者は勤務する法人でオンライン会議システム(Webex)を介して質問や回答などのヒアリングを行うことになります。また、帳簿等のデータに関しては、納税者がオンラインストレージサービスを介して国税局に受け渡しをすることになります。 国税庁の機器・通信環境を利用するこのリモート税務調査の対象は、国税局調査部の特別国税調査官及び沖縄国税事務所長課の調査対象となる一部の大規模法人(資本金40億円以上の法人)に限定されています。
リモート税務調査は、国税局が指定した法人すべてが受けなければならないものではなく、法人側が希望した場合のみ、実施されるものです。リモートによる税務調査を希望する際には、法人側はe-Taxで「リモート調査の実施に関する同意書」を事前に提出しなければなりません。


リモート税務調査では税理士はどうなる?

対面式の税務調査では税理士の立ち会いが認められています。しかし、オンライン会議システムを利用したリモート税務調査では、税理士が立ち会うことはできるが不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。
オンラインでのリモート税務調査でも、税理士の立ち会いが可能です。この場合、税理士もリモートで立ち会うことが認められており、税務調査の調査官、法人の担当者、税理士がそれぞれ別の場所から税務調査に対応する事例も出てくるでしょう。


リモート税務調査が本格実施されれば、対面式の税務調査は減る?

現在、オンラインのリモート税務調査が試験的に行われていますが、対象となっているのは一部の大規模法人だけです。今後、リモート税務調査は広く浸透していくのでしょうか。


オンラインによるリモート税務調査のメリット

オンラインでリモート税務調査を受けられれば、調査官が現地に赴く必要がないため、効率的に調査を行えるというメリットがあります。また、企業側も税務調査に対応する人員を削減でき、必要な資料はオンラインストレージサービスを介して提供できることから調査時間を短縮できる可能性があり、双方にメリットがあるといえるでしょう。


リモート税務調査は今後拡大すると予想される

法人税の確定申告もe-Taxの利用が進んでいます。国税庁が発表した「令和3年度における e-Tax の利用状況等について」によると、法人税の申告におけるオンライン(e-Tax)利用率は87.9%にも到達しています。
また、令和3年度の税制改正では、電子帳簿保存法も改正されるなど、さまざまな方面においてDX化が推進されており、今後、オンライン会議システムを利用したリモート税務調査の利用対象者は拡大されると考えられます。


リモート税務調査の増加で対面の調査はなくなる?

後、オンライン会議システムを利用したリモート税務調査は増加すると考えられます。しかしながら、しばらくの間は従来のような調査官が現場を訪れて行われる対面式の税務調査も並行して実施される可能性が高くなります。リモート税務調査では、帳簿や請求書、領収書等のデータはオンラインストレージサービスを介して受け渡しすることになります。つまり、帳簿や請求書等、調査に必要な書類がすべて電子的に保存されている状態でなければ税務調査をオンライン上で進めることはできないのです。日本ではまだ、請求書や領収書などを書面で発行しているケースは少なくありません。これらの書類が紙で存在する法人が少なくない現状では、すべての税務調査をリモートで行うには難しいでしょう。
しかしながら、国税庁では将来的にAIやビッグデータを活用し、申告漏れの可能性が高い納税者を特定して調査を行い、効率的に申告漏れ分の税金の徴収を図りたいという意向を示しています。リモート税務調査の拡大をはじめとし、今後、新たな形での税務調査も行われるようになっていくのは確実だといえるでしょう。



まとめ

新型コロナウィルスの感染拡大による影響から、対面を避けるためにオンライン会議システムを利用したリモート税務調査が開始されました。
現在は、国税庁の機器や通信環境を利用したリモート税務調査は、大企業を対象として試行されていますが、将来的には規模を拡大して行われると考えられます。リモート税務調査であっても対面式の税務調査であっても、調査される内容が変わることはありません。AIやビッグデータを活用した税務調査が行われればさらにチェックの目が厳しくなる可能性もありますが、正しく帳簿を管理し、正しく申告を行っていれば恐れることはありません。リモート税務調査でも税理士の立ち合いは認められています。リモート税務調査を希望しているものの、税務調査にご不安を感じている場合は、税務調査対応経験の豊富な税理士法人松本にご相談ください。



税務調査で電子メールの履歴を確認されることがある?その場合は拒否できる?

2023.05.16

税務調査では、さまざまな書類や帳簿のチェックがなされます。しかし、書類や帳簿のチェックだけでは不十分であった場合、さらなる資料として電子メールの送受信履歴を確認させてほしいと言われるケースがあります。
税務調査で電子メールの確認を求められた場合、納税者は調査官にメールを見せなければいけないのでしょうか。
今回は、税務調査時に電子メールの提示を求められたときの対応方法についてご説明します。すでに税務調査が入っている方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



税務調査で電子メール履歴を確認されるケースとは

税務調査時に電子メールの履歴を確認されるケースは、帳簿や請求書、領収書、納品書などの書類だけでは確認できない状況が生じた場合です。例えば、銀行口座の入金状況を確認すれば売上金の状況は確認できますが、実際には現金取引で売上金を受け取っているのに受領した記録が残っていなければ、売上を隠蔽しているのではと見られてしまいます。
現在では、電子メールを活用して請求書や領収書、納品書などのやり取りをしているケースも少なくありません。そのため、書類だけでは確認できない内容については電子メールの履歴を確認したいという要求が出るケースがあります。
また、接待交際費など、役員等の個人的な支出が経費として計上されているケースも考えられます。例えば、経費として処理されているゴルフコンペ費用がプライベートな出費であると疑われる場合は、本当に取引先との接待であったのか、電子メールの送受信の履歴を見て参加者の状況を確認することもあるでしょう。


税務調査で電子メールを見せるように言われたら拒否できる?

税務調査の際に電子メールを見せるよう、調査官から要求された場合は、要求に応じて電子メールの履歴を見せなければならないのでしょうか。それとも、拒否できるものなのでしょうか?まずは、任意調査における調査官の権利から見ていきましょう。


調査官には質問検査権がある

税務調査において、調査官は「質問検査権」と呼ばれる権利を持っています。国税通則法第74条の2には、税務署の所得税等に関する調査に係る質問検査権について次のように定めています。
「国税庁、国税局若しくは税務署(以下「国税庁等」という。)又は税関の当該職員は、所得税、法人税、地方法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類検査し、又は当該物件(その写しを含む。)の提示若しくは提出を求めることができる。」
つまり、調査官は税務調査時には、必要に応じて納税者の帳簿や書類の検査を行い、帳簿や書類の提示や提出を求めることができる権利があるのです。


税務調査は拒否できない

税務調査には、裁判所の令状を持って行われる強制的な調査である強制調査と、納税者の許可のもとに行われる任意調査の2つがあります。では、任意調査は「任意」と付く以上、税務調査を拒否できるのかというと、税務調査を拒否することはできません。それは、納税者には受忍義務と呼ばれる義務があるからです。
国税通則法第128条では、受忍義務について次のように示しています。
「次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
ニ 第74条の2、第74条の3(第2項を除く。)若しくは第74条の4から第74条の6まで(当該職員の質問検査権)の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者」
これは、税務調査時に調査官の質問に答えなかった場合や検査を拒否した場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金を科すということを示しています。任意調査であっても、納税者は税務調査を拒むことはできないのです。


電子メールの提示を拒否することはできない

国税通則法第74条の2の条文をよく見ると「事業に関する帳簿書類検査し、又は当該物件(その写しを含む。)の提示若しくは提出を求めることができる。」とあります。電子メールが事業に関するものであり、申告内容の調査を行う上で必要になる資料であれば、調査官は納税者に提示や提出を求められると解釈できます。
さらに、国税通則法第128条で示しているように納税者は税務調査を拒否できないことから、電子メールの提示を拒否することはできないのです。


税務調査で電子メールの提示を求められた場合の対処法

税務調査で調査官に電子メールの提示を求められれば、電子メールを見せなければなりません。しかしながら、調査官に見せなければならないメールは申告内容の調査に必要となるメールです。全ての電子メールを調査官に見せる必要はないのです。
そのため、電子メールの提示を求められた場合には、どこまで見せるかという点の交渉が重要になります。取引先企業と秘密保持契約を結んでいる場合は、第三者に電子メールの内容を提示する際には取引先の了解が必要になるケースもあるでしょう。しかしながら、豊富な経験を持つ調査官と、税務調査という場で冷静に交渉を重ねることは決して簡単ではありません。そのような場合は、税務調査に強い税理士に対応を依頼すると安心です。
税理士に税務調査の対応を依頼すれば、実地調査当日にも同席し、納税者の主張を伝えながらうまく交渉をしてくれるでしょう、また、そもそも税務調査前に必要な書類や帳簿をしっかりと準備できれば、電子メールの調査が不要になる可能性も高く、不安なく当日を迎えることができます。税理士に対応を依頼すれば、事前準備に対しても的確なアドバイスをもらえるはずです。
電子メールでの取引が多く、税務調査で電子メールの提示を求められるのではとご不安な場合には、年間100件もの税務調査の対応実績を持つ税理士法人松本にご相談ください。


まとめ

税務調査では調査官に質問検査権があり、納税者には受忍義務があります。そのため、任意調査であっても納税者は税務調査を拒否することはできず、同様に電子メールの提示を求められればその求めを拒否することはできません。
しかしながら、税務調査で電子メールの提示を求められるケースは、帳簿や書類でしっかりと申告内容が正しいかどうかの確認が取れない場合です。税務調査前の事前準備で対策を行えば、不安なく調査当日を迎えられるでしょう。また、税務調査で電子メールの提示を求められても税理士が同席していれば安心です。
税理士法人松本は、国税OBも在籍する税務調査対応のスペシャリスト相談です。初回の電話相談は無料で承っておりますので、税務調査にお困りの場合はお気軽にお問い合わせください。



税務署はSNSの内容をチェックして税務調査の対象を選んでいる?

2023.05.11

今は、多くの人がSNSを利用しています。個人として生活の様子をアップしている人もいれば企業がSNSを使って宣伝をしているケースもあるでしょう。
SNSは気軽に利用できるものであり、何気ない日常生活を投稿している人も少なくありません。しかし、税務署がSNSをチェックしていることをご存じでしょうか。
今回は、税務署がSNSを情報収集ツールの1つとして利用し、税務調査を行っていることについてご説明します。



税務署のSNSチェックがきっかけで脱税が発覚した事例も

税務署は、さまざまな情報を集めて納税者の状況を調べいます。現在はSNSも税務署の情報収集手段の1つとなっており、実際SNSの投稿内容をきっかけとして脱税が発覚した事例もあります。

SNSとは

SNSとは、ソーシャルネットワーキングサービスのことで、インターネットを使って交流ができるサービスのことです。SNSの代表的なものとしては、Facebook、Instagram、Twitter、YouTube、LINEがあります。
SNSは、会員登録さえすれば誰でも好きな情報をインターネット上にアップすることができます。現実世界では知り合う機会のない人にもSNS上では自分の情報を知らせ、交流を図ることが可能です。SNSが普及した現在では、世代を問わず多くの人がSNSを利用し、自分の生活にまつわる情報を投稿しています。

SNSがきっかけで脱税が発覚した事例

数年前に、2年に渡って架空の広告宣伝費を計上して所得を隠し、法人税と消費税の脱税をした容疑で会社経営者が逮捕された事件がありました。「青汁王子」というワードに聞き覚えがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この事件では、SNSの投稿内容から税務調査が行われ、脱税が発覚しました。青汁王子は、豪華なマンションに住んでいる様子や高級外車を乗り回す姿、競走馬を所有していることなど、日々の贅沢な生活をSNSにアップしていたのです。
この事件は脱税の事実も大きなニュースになりましたが、同時に税務署がSNSをチェックしており、SNSの投稿内容が税務調査につながることが広く世間に知られる結果となりました。

税務署がSNSをチェックする理由

税務調査は、納税者が正しく申告をしているかどうかを調べるものです。正しく納税している人がいる一方で、虚偽の申告をし、納税を免れる人がいれば、税負担の不公平が生じます。税務署では、適切で公平な課税を実現することを目的に税務調査を行い、虚偽の申告をしている納税者に正しく納税をするように求めているのです。

SNSが誇るユーザー数

日本ではLINEのユーザーが9,400万人、YouTubeのユーザーが7,000万人、Twitterのユーザーが4,500万人、Instagramのユーザーが3,300万人ほどいるといわれています。
限られた調査員で全ての納税者を調査することはできません。そのため、ランダムに調査対象者を選び、税務調査を行っていますが、それでは効率よく不正を働いている納税者を見つけることはできません。しかし、これだけ多くの人が利用しているSNSの情報をチェックしていけば、税務署は効率的に税務調査の対象とすべき人を見つけられるというわけです。


SNSは生活ぶりが手に取るように分かる

一般的に、収入が多ければ税負担も大きくなるはずです。しかしながら、贅沢な生活を送っているにもかかわらず納税額が少ない人がいれば、税務署としては疑いの眼差しを向けることになるでしょう。SNSが発達する前は、周囲の人が税務署にタレコミをすることで税務調査につながる例がありました。かつては、このように第三者からの密告が税務調査のきっかけとなりましたが、今では多くの人が自らSNSに生活の様子をアップするようになったため、簡単に納税者の生活ぶりが分かるようになったのです。
誰にでも高価なものを購入したり、良い車を購入したら、誰かに見せたい、自慢したいという気持ちがあるでしょう。SNSは自慢したい気持ちを多くの人に披露する絶好の場でもあるのです。そのため、SNSに贅沢な暮らしぶりや豪遊の様子をアップする人は少なくありません。納税者が自ら自身の生活をアップしていれば、税務署としては納税額と生活の様子を比較し、税逃れをしていないかどうかを簡単にチェックできるでしょう。


売上や報酬をSNSで報告する人もいる

個人事業主や会社経営者の中には、売上や報酬の額をSNSにアップしている人もいます。また、キャバクラなどで働いている方の中にもSNSにお店での様子や高級ブランド品のバッグや時計、アクセサリーなどをアップしている人も少なくないでしょう。SNSに収入が分かるようなことをアップし、税務調査の対象になったケースも出ています。税務調査時に収入を偽ってもSNSに掲載した写真を証拠として示されれば、否認できなくなるはずです。


税務調査に不安がある場合は、税理士法人松本にご相談を

SNSに贅沢な生活の様子をアップしていたけれど、税務署がSNSをチェックしていることに気が付いていなかったという方もいるのではないでしょうか。中には、収入を得ていても納税の仕方が分からず適切に納税してこなかった方もいるかもしれません。
税務署はSNSをチェックしており、納税状況と比較し、不自然に贅沢な生活をしているようであれば、事前準備を行ったうえで税務調査に踏み切る可能性があります。税務調査によって脱税の容疑をかけられれば、35%もの税率がかけられる重加算税が加算され、逮捕に至る可能性もあります。
これまで正しく納税していなかったという場合は、税務調査が入る前に自主的に申告を行うとペナルティとして課せられる税額が軽減されます。SNSに豪遊ぶりをアップしてきてしまった、贅沢な生活を投稿していたという方は、税務調査が入る前に早めに税理士法人松本にご相談ください。
また、SNSへの投稿をきっかけに税務署から税務調査の連絡を受けた方も、税理士が立ち会うことで対策できることもあります。税務調査の事前通知が入った場合も、早めにご相談ください。初回の電話相談は無料で承っております。



まとめ

多くの人がSNSを利用している今、税務署もSNSを税務調査の対象者を選ぶツールとして利用しています。SNSをチェックしていれば暮らしぶりが分かり、暮らしぶりから収入額を推計することができるからです。
税務調査によって脱税が指摘されれば、本来支払うべき額の税金よりも多額の税金を納めなければならなくなります。また、場合によっては逮捕に至る可能性もあります。
これまで正しく納税してこなかった方はぜひ早めにご連絡ください。また、すでに税務署から税務調査の通知が入った方のご相談も受け付けています。税務調査の対応は税理士法人松本にお任せください。



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